<こすもす-2000-おわりに>(Letztes Werk)















































飯田町操車場南端         

風が吹いたら

アカシアの歌をうたう

嵐がきて

枝が折れても

すぐ 新しい枝を出すのだから

風が吹いたら

アカシアの根方に立って

過ぎた季節の囁きを

聴いてみよう

あの樹の下に

小さな屋台があって

椅子を並べ 語り合った

あのころ

みんな よく働いたね

こどもたちも 親になって

犬のタローもいなくなって

もう誰もいなくなって

風だけが通り過ぎていく

飯田町操車場南端

早咲きのサクラも

夏草も

ススキも

木枯の中の汽笛も

消えていって

今は 残照のなかに

アカシアとスズカケだけが佇んでいる

かつて 東京を造った日々の

喧騒の記憶とともに・・・・

             Dec.2000-最後の夜半に- この風を知っているかい

製作/発信 : アイ・ティ・アイ
編集事務センター