Cosmos-2000

詩集-最後の夜半に Letztes Werk

■ 2.ひかりとなりて





























































































 

ひかりとなりて

        

この風を知っているかい

私たちが巡り逢った頃の

太陽の匂いがする

そして今

この広々とした荒野で

錆び付いた機関車の

ボイラーを焚いている

私が石炭をくべたら

君は思いっきり

笛を吹いてくれ  

汽笛が荒野の彼方に

消えていったら

丘の上の焼けただれた

金星を見てごらん

あれは過ぎ去った日の

シグナルだから

気にすることは

ないのだよ

しばらく走ると

浜辺に出るから

月見草の咲いている

丘に立って

あの日の

風を呼んでみよう

南の海でも

あの風に遭った

北の町でも

あの風に逢った

高い空の上をごうごうと

翔けていましたね

あれから

何年が過ぎたのでしょう

みんなは何処へ

行ったのでしょう

たった二人だけに

なってしまいましたね

愛し合った日も

闘った日も

ありましたね

もうじき言葉も

いらなくなりますね

もう透明な光としか

感じられないのですね

光となって

包み合うのですね

光を見つめながら

祈らせて頂くのですね

わたしたち

今生に一度

巡り遭えて

よかったですね・・・・

                     Dec.2000-you

 

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