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舎 蜜 館

CHEMIE LABORATORIUM
「ものの命」「生ある命」「こころの命」の環(和)の拡大・・・共鳴の時空へ・・・!

<常設展示コーナー>
URL https://www.iti-cosmos.com/
2004/08/10

化 学 の 紋 様  <墨流しと墨割り>

制作/解説
東京都立大学名誉教授
佐々木 恒 孝

図1 図2

<墨流し>
墨流しいは日本古来の伝統的な染色技術としてよく知られており色紙や短冊、帯やネクタイなどに今なお用いられ、無形文化財にも指定されている。その手法は墨汁を含んだ筆をきれいいな水面に触れて墨の薄膜を拡げ、その所々を油脂のついた爪楊枝などで触れて丸い穴(実は無色の油の丸い膜)を作った後墨の膜全体を静かにかき回すと墨の流線模様ができる。その上に吸水性のよい和紙などを置いてこれを写し取れば墨流し模様が出来上がる。
図1上左)
このように操作はきわめて簡単であるが墨流し模様は繊細、複雑、千変万化で美しく、しかも二度と同じ模様が作れないのがその特徴である。
西洋にもマーブル染めと称して絵の具を用いたカラフルな「色流し」とでもいうような技法があり、それなりに美しい模様が伝えられている。しかし、白黒模様で単純、素朴な墨流しの方が渋みと迫力がありわれられ東洋人には好まれ親しまれるようである。

<墨割り>
ところで予め少量のミョウバンを溶かした水の上で同様の墨流しを試みると、この流線模様は一変し、水面に広げた墨の膜に油脂の爪楊枝を触れると墨流しのときに丸く広がった油がミョウバン水上の墨の膜では鋭い直線状の亀裂模様となる。
図2上左右)
それはあたかも固体の破壊を思わせるので『墨流し』」ではなく『墨割り』と呼ぶことにした。これは墨の成分の膠をミョウバンが固化するためであって固化は時間と共に進み、星形、大の字形十字形、人字形と変化する。これにタイミングを合わせてすみ割りをすると、輝く星や花咲く木などを画くこともできる。このように至極館に思わぬ効果が得られる点も魅力である。実は私が墨流しや墨割りに興味を持ちこれに凝りだしたのも、この微量のミョウバンのタンパク質固化作用に趣味と研究の接点を発見したからである。

墨流しの時も、墨割りの時も、使う紙を予めミョウバン水で処理、乾燥して置くと墨模様が紙にしっかり固定され出来上がりが鮮明になる。ちなみにミョウバンがなめし(動物の皮を革に帰る反応)や染色の際の媒染剤として用いられるのもこれと似た固化、固定作用と考えられる。
さて写真にネガとポジがあるように墨流しや墨割りにもネガとポジの区別がある。上に述べた墨流しや墨割りの方法で作ったパターンは黒地に白の模様であり。これは写真のネガに相当する。しかし水上またはミョウバン水上に墨の膜を作るかわりに、先に油の膜を広げ(簡単には鼻の“油”をつけた爪楊枝を水面に触れればよい)その上に墨の膜を広げると白地に黒のポジの墨流しや墨割り模様ばできる。(図1上右、下左右および図2下左右)
このようなネガ・ポジの違いを旨くいかすと更に変化に富んだたくさんのパターンを作ることが出来る。

化学の紋様 <墨流しと墨割り>
佐々木恒孝 (作品群より)
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宇田川嘉久